千秋はちゃんと、乙姫と交渉してくれたのだろうか。 そこに藍の命運はかかっているのだ。 乙姫が約束を守ってくれるかどうかは謎だが、そこを疑ってしまえば希望はなくなる。 ガサリと、九木の後ろの草木が揺れる。 乙姫が来る。 たくさんの真珠の連なりを身にまとった、絶世の美女が来る。 そう、身構えていた藍だからこそ、次の瞬間目を見張った。 「……はい」 草がバサリと分けられ、そこから出てきたのは。 顔面蒼白で今にも倒れそうといった様子の、有明だった。