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有田藍の意見をまとめるとこうだ。
九木が牛木になった今、彼は時の右手で時を遡れるはずだ。
だから、九木を恐竜が絶滅した時代へ連れてこさせれば。
きっと、九木は死ぬ。
「まぁ、殺せるだろうね」
千秋が一応そう認めれば、少しだけ嬉しそうな顔をする藍。
だが、千秋の表情は晴れなかった。
「賛成したわけじゃないからね、その意見」
「でも伊勢君は他の案思いつかないんでしょ?」
得意そうに言うその顔を張り倒したくなった。
「大体、どうやって九木を6550万年前に連れていくように誘導するの?」
「こう、うまく口先で九木をその気にさせて……」
「相当うまいことやらなきゃ無理だね」
ハァと呆れた顔をすれば有田藍は縮こまった。
ただ、千秋は全てを否定したわけではない。
現状とれる策の中では一番犠牲が少ない藍の策。
やってみる価値はあるとは思ってる。
有田藍自身がその策のリスクを分かっているかは別として。


