「壱与が負けたことから考えるに、牛木が最強の妖怪と言われたのは願いの口があったからだ。毒の手じゃせいぜい上級の妖怪と同程度なんだよ」

「伊勢さん」


滔々と語り続ける千秋を竹内天音が止める。


「やってしまったことをウダウダ言っても進まないと言ったのはあなたでしょう」


攻める様子もなく、淡々と天音は言う。
千秋はムスリと黙り込んだ。

藍も自身の横にいるダンのつむじを見ながらじっと考えた。
九木が自身を自然と一体化。
いつか、と考えるに、あの時からしかないだろう。

街に、都市に、九木が木々を大量発生させた時。
あの時から九木は準備をしていて、じわじわと侵食させていた。
人間が、簡単に自分を殺さないようにするために。


「九木を殺したら自然も死ぬんだ」

「でしたら、その九木とやらと自然との繋がりを切ってしまえばいいのでは?」

「どうやって」


繋がり。
元々、生命力を自然に依存している妖怪は自然がなくなれば死ぬ。
九木の場合はこれを相互作用にしただけだ。

死ぬ時は自然と九木と一緒にという感じで。
そこの繋がりを切るとなると、再び九木が自然に依存するだけの関係に。