「じゃあ、ダンに九木の死を願ってもらうのは?」

「ダメだ」

藍の提案は一瞬で却下。

「九木を殺したら人間もすぐに滅びることになる」

「なんで」

「九木が自然と自分を一体化したから」

イライラした口調の千秋。
藍も思わず声に力が入る。


「聞いてないけど」

「言わなくていいと思ったから」

憮然とした態度でそう言う千秋。
こんな時でも偉そうな態度に藍はムカムカしてきた。


「伊勢君だって人のこと言えないじゃん」

「君が早めに東北の妖怪のことを言ってなかったのが悪いだろ」

「はぁ?」

「壱与の封印を解く前に言っていればまだどうとでもできた。壱与にその妖怪のことを伝える時間だってあった」


吐き出すように千秋は言う。
藍は反論しようにも、千秋の正論に黙り込むしかなかった。