自分はいつまでここにいればいいのだろう。
少年はふとそう思った。
ここでの生活は退屈だ。
人々の生活を見たり、人が作った映画や物語を覗くのは楽しいが、やはり誰とも話せないのは寂しい。
この世が終わるまでここにいなければいけないのか。
もう終わりたいな。
少年がそう思った時。
パキ、パキと何かが踏みつけられる音。
モロモロと、目の前の壁が崩れていく。
眩しい。
千年以上ぶりの光は、目に突き刺さるように痛かった。
だが、少年は目を閉じはしなかった。
光の先。
誰か、人がいる。
人。
「男子トイレ?」
少年はすでにイヌではなくなっていた。
人ではない。
別の、何かになっていた。
そして人ではなくなって初めてかけられた言葉。
それは否応なしに、少年の新しい名前となっていた。


