不滅の妖怪を御存じ?













竹内家の前当主。
蛍と天音の父親、彼が何故次の当主に蛍を選んだか。

理由は簡単だ。
蛍は、人間がすべてを知ることなどない、とわかっていたからだ。
そこに関して竹内家の姉と弟は対極的だった。

姉である天音は、気の遠くなるような時間をかければ、人間はあらゆるものを知れると信じていた。
つまり、人間の可能性を信じていたのである。

対して弟の蛍は、大地や宇宙や自然はどんなに人間が調べても、全てを知ることは出来ないだろう、と。
自然の深さを、その神秘性を愛していたのである。



ビシャッという衝撃。
喉が詰まる。
息が苦しい。


「ゲッ、ゴホッ、ゴホッ」


目覚めてすぐ、蛍は思いっきりむせた。
顔が冷たい。
足元は暗く、服が身体に張り付いて気持ち悪い。

水か?
自身の顔とTシャツが濡れていることから、蛍はそう考えた。

その時、自分の足に違和感を感じた。
慌てて下を見ると、細いシダ系の植物が蛍の足にものすごい力で絡みついていた。


「貴様が竹内の当主か」


ハッキリとした、大人っぽい声が聞こえた。
冷静そうな、落ち着きのある声。

蛍は顔を上げる。
上げて、声の主を見た瞬間、息が止まった気がした。