『そうなんですか。すいません。では、今後は蛍さんが家督を継ぐのでしょうか?』
『いいえ。蛍は両親とは不仲で本家を追い出されたので、私が継ぐと思います。』
『追い出された、とは。では蛍さんは今どこにいるのですか?』
『……岩手の分家に預けられています。』
竹内天音は始終淡々としていた。
竹内蛍もなかなか複雑な境遇に置かれているようだ。
そろそろ仕事に戻らないと。
藍がテレビから目を離そうとしたとき、竹内天音の凛とした声に呼び止められた。
『私は、一人でも妖怪と戦うつもりです。』
は?と藍は口を開けた。
テレビのインタビューしている放送陣もガヤガヤと騒がしくなった。
妖怪。
日本一財力がある竹内家の新当主はなんとも現実離れしたことを言い放った。
周囲の当惑がテレビ越しにも伝わる。
そんな周囲も意に介さず。
というか、周りを置いてけぼりにし。
竹内天音の更なる言葉が投げ込まれる。


