⌘
久々に地上に出ると身体がズンと重くなったように感じる。
これだから陸は嫌なのだ。
乙姫はそう思っても顔には出さず、常に微笑み続けた。
辺りにそびえ立つ松の木の上では、天狗たちがこちらの様子をうかがっている。
その目にこもる感情は。
殺意か、敵意か。
良い感情ではないのは確かだ。
乙姫の子供達も応戦するように天狗たちを見つめ返す。
そんな二種の妖怪の、ピリピリした空気を破ったのは弓月だった。
「乙姫」
ファサッと頭上から軽やかに降りてきた弓月。
彼は話ができるから助かる。
乙姫は少し力を抜き弓月に話しかける。
「あと数刻で九木は動き出すそうよ。私たちは黙って見ていろとのこと」
「そうか」
たいして焦った様子もない弓月。
この様子じゃ、九木を倒すのは諦めたのだろうか。
だが、そんな単純なことでもないような気がする。
乙姫は耐えきれずに会った時から気になっていたことを尋ねた。


