不滅の妖怪を御存じ?






その時、竹内天音が言葉を落とした。


「何なのですか」

「何が?」

竹内天音の言葉に反応したのは千秋だった。
藍も一拍遅れて視線を前に戻す。


「妖怪とは、何なのですか」

「………はぁ?」

「ただの伝承の架空の生物じゃない。本当に存在しているなら、何なのですか。生き物が存在するにはエネルギーが必要なはずです。妖力というものが妖怪を構成する器官、細胞にどのように働きかけて彼らの活動を支えているのか。そもそも彼らはどの生物に分類されるのか」

「あのさぁ、」

「鬼道学園は対妖怪組織の本拠地であるにも関わらず、妖怪の生態については何も分かってないのですね」


早口でそうまくしたてた竹内天音。
その様子にポカンとしている藍の隣で、千秋は呆れたように息をついた。


「知らないよ。そもそも妖怪を僕たちと同じ地球上の生物として分類していいのかすら怪しいんだから」

「私たちと同じでないなら、彼らは生態系のどこにも所属しないということですか。そもそも、どうして有田藍さんの一族きだけ彼らの存在は目視されるのでしょうか。人が物を見るというのは光が物体に反射して、」

「あのさぁ!」


竹内天音がつらつらと独り言のよに言葉を吐き出していたのを、千秋がめんどくさそうにぶった切った。