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意外なことに、藍と千秋はものの数分で竹内天音に会えた。
それもそのはず、向こうから迎えが来たのだ。
ブロロロ、と車のエンジン音がしたと思ったら、藍達が歩いてる道の先から車が来たのだ。
がっしりとした黒い車。
それは藍と千秋の前で停止すると、自動でガチャッと扉が開いた。
「乗ってください」
運転している天音の凜とした声。
わざわざ迎えに来てくれたのか、と思い藍は会釈する。
さっさとしろと言うように千秋に背中を小突かれたが舌打ち一つで我慢だ。
本当にこの男は少しの間も待つことが出来ないのか。
「ようやく君も分かったわけだ」
車に乗り込むやいなや、そう切り出したのは千秋だった。
乗せてもらっているというのに堂々と上から目線。
運転席の天音は綺麗な蒸し栗色の着物を纏い表情一つ変えない。
何の合図もないまま車がゆっくり動き出す。
藍はといえば、この二人はどういう関係なんだろうと考えていた。
車内の空気からして良好な仲とは言えなさそうだが。
「……全てを森で覆い尽くせるほどの九木に、壱与は勝てるのですか?」
ポツリと、天音がそう切り出した。


