家に着いても藍はスライムを持て余していた。
試しに人差し指を入れて触ってみる。
ブニ、となんとも言えない感触。
けっこうおもしろい。
ブニブニと何回も触っていたら、弓月の足音が聞こえた。
「藍。今日は今のうちから掃除しておいてくれぬか?」
「いいけど、なんで?」
「今日は大切な日なのだ。」
弓月の言っていることはよく分からなかったが藍は一つ頷くと動き出した。
モップを取りに行こうとして、机上のスライムに目がいった。
要らないけど、捨てるのも悪い。
よし、弓月に押し付けよう。
藍はそう思うとスライムを持ち風呂場へ向かった。
「あれ?」
風呂場に弓月はいなかった。
人に掃除させて自分はやらないのか、と藍は少しムッとした。


