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ザザ、ザザ、と波の音が聞こえる。
潮の匂いが鼻を掠める。
目の前は一面の星空。
星座は全く分からない。
ここ数時間の竹内蛍のあまりの脳内お花畑っぷりに藍はもうどうにでもなれという気持ちになっていた。
その証拠に今砂浜に大の字になっている。
横からは有明とダンが心配そうにこちらを覗き込んでくる。
今は何も言わないでくれ、と力のない目で伝える。
しかし、
「なー、タイタン見たいタンザニアってダジャレ今思いついたんだけど面白くねー?」
全く、恐ろしいほどに竹内蛍は空気を読まなかった。
ひくりと藍の口元が引きつる。
藍の様子などお構いなしに竹内蛍はヘラヘラ笑っている。
怒るのも馬鹿らしくなり藍はガバリと体を起こす。
細められた竹内蛍の目と目が合う。
「妖怪」
「え?」
「いるんだなって、納得はしていたけど、今ようやく実感できた」
一瞬返答に詰まる。
「さっきその手紙見ながら話しかけてただろ?今もいんの?妖怪」
「あ、あー、うん」
九木から逃げられたことに興奮して有明と話していたことを思い出す。
竹内蛍はしっかり聞いていたようだ。


