「桜、行こう。」
行くって、どこに。
どうやってあんな強大な力の九木を止められるというのだ。
鬼道学園一の実力を持つ千秋といえども今回はどうすることもできないだろう。
力が違いすぎる。
今更鬼道学園に戻ったところで何も出来ないだろう。
負けだ。
人間の、負け。
暗い気持ちで桜は「どこに?」と尋ねる。
すると千秋から返ってきたのは意外な答えだった。
「鬼道学園と竹内家。」
「……竹内家?」
「そう。」
振り返れば普段通りの表情の千秋がいた。
落ち着いた声で、淡々と話す。
「竹内天音に頭下げて頼みごとするなんて癪だけど今回ばかりは仕方ないね。」
「は?頭下げる?」
「うん。」
要領を得ない様子の桜に千秋は呆れたような目を向ける。
困った子だね、とでも言いたげな視線に桜はムッとする。


