乙姫の冷たく高らかな声があざ笑うかのように反響する。
「弓月はずっと、1200年間、見殺しにし続けてきたのよ。あなたたち一族を。子供が生まれて次の世代ができたのなら、前の世代はいらないって。一枚の写真を竜宮城に預けて、切り捨てていったのよ。」
代々、子を産んだばかりの母が、父が、殺されてきた。
あぁ、だから私には両親がいなかったのか。
長年の疑問の答えがようやく見つかった。
藍の目の端に、座り込んでいる有明が映った。
そこでようやく自分が有明と同じ檻に入れられていることに気付いた。
「一生そこにいなさい。食事だけは毎日あげるわ。」
乙姫の声が遠くに聞こえる。
身体が重い。
ゆっくりと、藍の意識は遠のいていった。


