「九木様に物申せるほどわしらは強くはない。だからといって、人間を守るなど言語道断。人間など滅べばいい、という九木様の意見だけは賛成だからな。」
キッと河童は弓月を睨みつける。
ギラギラとうごめくその瞳が、人間を守ることを承諾した弓月への非難を訴えている。
ふむ、どうしようか、と弓月はしばし考える。
今、河童だけでなく他の妖怪たちは皆板挟み状態だ。
その重圧の大小はあれど。
九木の極端で勝手な行動にはほとほとうんざりしている。
けれど、大嫌いな人間を守るなんて絶対嫌だ。
ムスッとした河童の表情を見つめる。
ゆっくりと、弓月は口を開いた。
「なぁ。」
じとりとした河童の視線。
「一つ、提案があるんだが。」


