不滅の妖怪を御存じ?








なんとかあのイケメン二人を撒いたか。

人の気配が全くなくなった廊下を小走りで進みながら藍は後ろを振り返る。
誰も追ってきていなかった。

もう大丈夫そうだ。

周りを見れば、先程までの豪勢な造りとは違いこちらの廊下はなんというか、粗雑な造りだった。
ゴツゴツとした大きな岩を組み合わせてトンネルのようにしている。

装飾は何もなく薄暗い。

長い間留まっていたら気が滅入ってしまいそうな場所だった。


「なんでだよ!?」


やにわに、耳慣れた声が小さく聞こえた。

有明の声だ。
藍は声のした方へ突き進む。


「なんではこっちのセリフだっ!弓月のとこの人間なんてめんどくさいもん持ってきやがって!」


怒鳴り声と共にガシャンッと鉄を打ち付けるような音が聞こえた。


「まともな妖力もなくてロクなこともしない。あんたって本当にグズね。」

「俺はグズじゃない!」

「はぁ?」

「人間を連れ去ることも出来たし母さんの力も受け継いでる!お前らと同じように能力はあるんだよ!」



ハァハァと荒い息づかいが聞こえる。

今はまだ出ていかない方がいい雰囲気だ。
有明一人になったら出ていこう。

藍は大きな岩に身を寄せわずかに顔を出した。