「言うタイミングがなかったんだけどさ。」 またもや唐突に千秋が言葉を発した。 四人の足は自然に止まる。 三人はそろりと千秋に目を向ける。 そこにはいつものように悠然とした立ち姿。 「有田藍がいなくなったんだよね。」 「……え?」 佳那子が当惑の声を出したとき。 示し合わせたかのようなタイミングで。 ズンッと強力な妖力を感じた。 前方。 どろりとした暗闇の中。 大きな、並大抵ではない妖力。 ペタペタと、それは確実に桜たちの方へやってきていた。