ブハッという音につられたのか千秋が桜を見つめてきたが、黙然としたままだった。
千秋の自信はすごい。
さらにすごいことは、実力がその自信に負けないくらいあるということだ。
伊勢千秋、すげえ。
心の中でそう思いながら桜は笑った。
ひとしきり笑ってすっきりした頃に佳那子たちと合流した。
「伊勢くんも桜くんも遅いよ。」
暗闇に佳那子の姿が浮かび上がる。
揺れるポニーテール。
その後ろに紫月が無表情に立っていた。
「早く行こう。」
佳那子の言葉に四人は歩き出す。
ペタペタと湿った土を踏む音しか聞こえない。
白い懐中電灯の光。


