「月夜うるさーい!」
「何の騒ぎ!?」
叫び声につられてわらわらと乙姫の子供たちが集まってくる。
そして目の前の惨状に目を丸くする。
眉をひそめ意識がある方の男を問いただす。
「ちょっと!父様の像が壊れているわ!」
「月夜がやったのか!?」
「追い出されんのわかってただろ!?」
「違う!俺じゃない!」
一気に何人もの兄妹に責められ月夜という男が喚く。
「弓月んとこの人間の仕業だ!あいつが壺投げて小雨を殴ったんだよ!」
月夜の言い分に、いくつもの目がパチパチと瞬きを繰り返す。
「弓月のって、有田藍のこと?」
「そうだっ!その女がやったんだ!」
「でも月夜。じゃあ、その女はどこにいるの?」
「……え。」
月夜は慌てて辺りを見回す。
その場にすでに藍はいなかった。


