ひょいと写真を取り出すと、その下にはさらに何十枚もの写真があるようだ。
「……誰?」
黒い髪をふわりとゆるく巻いた少女の写真が藍の写真の下にあったようだ。
一昔前のアイドルのような髪型をしている。
スカートの丈は長く、些か古い写真だと分かる。
その下は。
学ランを着たキリリとした男の人。
その下。
縞模様の着物を着た女性の白黒写真。
その下。
眉をピシッと整えた男性。
その下。
優しげに微笑む男性。
ある時からざらざらした紙に描かれた似顔絵になった。
写真がまだない時代のものなのだろう。
下の絵ほど紙の傷みがひどくなっている。
そして遂に藍は一番下の紙を手に取る。
そこには大きな男が描かれていた。
髭を生やし、目を見開いている人物。
不思議と藍は、その人物が誰なのかすぐに分かった。
「……アテルイ。」
何十枚とある写真と絵は全て、アテルイから藍に至るまでの系図なのだろう。
そうして上から二枚目にあった写真をもう一度見る。


