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人生とは思い通りにはいかないものだ。
黒く変色した石畳を見つめながら藍はそう思った。
時刻は午前10時。
ぬるい日の光が指す中、藍たち一行は山道を歩いていた。
「今回僕たちは山の中腹にある墓地のお札の交換を任されたから。」
数十分前班長である伊勢千秋はそう言っていた。
そうして鬼道学園を出発してからずっと歩き続けているのだ。
延々と続く坂道に藍の息もあがる。
おまけに佳那子と同じ班になれなかったので藍は気落ちしていた。
よりにもよって伊勢千秋と同じ班になるとは。
己の運のなさを嘆く。
前を歩く男の子が早くも藍の息があがっていることに気付いたのか顔をしかめる。
「足だけは引っぱんなよ。」
そう言い捨てられた。
藍はその子とは初対面のはずだったが、だいぶ嫌われているようだ。
というか、いきなり入ってきた藍をかみの学年の生徒はほとんど嫌っているみたいだ。
どうしようもないな、と藍は苦笑いする。
トゲトゲしい雰囲気のまま班のメンバーは山道を歩いた。


