「俺が見えるんだからお前はアテルイの末裔で間違いねえよ。お前を育てたのも弓月だよな。」
「うん。」
答えながら藍は考える。
有明はどうしてそこまで断言できるのだろう。
「弓月と私のことは妖怪の間でも有名な話なの?」
「悪い意味でな。」
「え、なんで。」
「人間と妖怪が契約を結ぶのはそこまで悪いことじゃない。けど不明瞭な点が多すぎるし、何よりも契約がデカいんだよ。」
「大きい?」
段々話がよく分からない方向へ行っている気がした。
「契約が続く限り九木は弓月たちに手を出せない。攻撃も、ましてや殺すことも出来ない。九木の力を抑えるくらいだから契約の返しは相当デカいはずだ。」
「返し?」
「契約の、なんつーか。続行するために弓月がやるべきことっつーか。」
有明がガシガシ髪をかく。
いまいち藍にはピンとこなかった。


