案の定伊勢千秋は二位だった。
佳那子は五位。
紫月は六位。
さすがとしか言いようがない。
隣でくわぁ、と大きく有明が欠伸をする。
目を半分も開けてないような状態の彼が一言。
「お前最下位なんじゃね?」
「私もそう思った。」
案の定藍は最下位だった。
バランスが悪くヒョロヒョロした字だ。
周囲からクスクスと忍び笑いが漏れる。
まぁ次頑張ればいいか、と藍は力なく墨を擦る。
そこでふと気にかかることが頭に浮かぶ。
「ねぇ、佳那子ちゃん。」
「んー?」
「紫月が書いてた文字って佳那子ちゃんは読めるの?」
佳那子はパラパラと半紙を数えていた手を止める。
「読めないよ。西文家の文字は西文の血を引く人にしか読めないの。」
佳那子は藍の目を見てニヤリと笑う。


