有明は藍の後ろにピッタリくっつき佳那子の様子を窺っている。
藍は佳那子が持っている古い鏡をマジマジと見た。
「佳那子、この鏡、何?」
「あ、これはね、うちに代々伝わる鏡なの。この鏡には妖怪の姿が映るんだ。」
へへ、と笑いながら佳那子は鏡を藍に近づけて見せてくれた。
所々小さく欠けている部分があり、それが長い間佳那子の一族に受け継がれてきたという歴史を感じさせた。
「ね、そろそろ朝食に行こう。」
「うん。」
佳那子に促され藍も歩き出す。
後ろにはしっかり有明も着いてきていた。
未だに佳那子を警戒しているその様子に藍は眉を顰める。
「佳那子はいい子だよ。何もそんなに警戒しなくても。」
「いい子とか悪い子以前にな、あいつはその気になればいつでも俺を始末出来るんだよ。そんくらい分かれ。」
眉間にシワを寄せそうぼやく有明。


