桜色の川と君の詩


その日も由希を迎えに行った


昨晩のこともあり、話が途切れ途切れになる

ただ嫌な沈黙ではないのを二人はわかっている



うつむいたまま由希が言った


「啓介さん、お願いがあるの…」


「ん…何?」


「そのジャケット、明日一日貸して欲しい…」


由希の顔が真剣だった

なんだろう…僕は一瞬変に思ったが気にはしなかった


「いいよ。でも汚れてるし、由希ちゃんにはデカすぎるよ」

「そうかな?」


彼女の目がくりっとしてきた。興味がわくと由希は目で物を言う


「着てみなよ」