3時間目の選択教室のテスト。
瀬戸山のクラスに入って、席に座りそのメモを見つけた。

泣きたい気持ちでいっぱいで、テストには当然集中できないままチャイムが鳴り響く。

せっかく、瀬戸山に数学教えてもらったのに……多分散々な結果になっただろう。


涙をこらえながら机の中にしまった教科書とノートを取り出した。
さすがにテスト期間中は、机の中はすっきりと片付けられている。いつもはぎゅうぎゅうに詰め込まれているのに。

……まるで、初めて瀬戸山からの手紙を受け取ったときみたい。


あのときは告白だったけれど、今回は——拒絶。
自分のずるさがバレてしまった気持ちで、恥ずかしく、逃げ出したい気持ちになった。


「……っ」


思わず涙ぐんでゴシゴシと慌てて目をこすった。
そして……視界に飛び込んできた机の中の、落書き。

油性マジックで、小さな文字で書かれている。

“なんで我慢しなきゃなんねーんだよ”
“なんでやりたいことができないんだよ”


そう、書かれている。
そしてその下に、ボールペンだろうか。細い文字で、もう今にも消えてしまいそうなくらい薄く、コメントが残されていた。


“今は無理かもしれないけど、いつか、思う存分出来るといいね”


——思い出した。

ぼんやりだけれど、多分これを書いたのは、私だ。
この席に座って間もない頃だったような気がする。

ただ、これを書いたときの自分の気持はわからない。でも、今も同じようなことを言っているから、なんとなく、残しただけだろう。


悩んでいるのが伝わってきたから、なにか反応をしてみたくなったんだ。