なんとなく、本当になんとなくリクエストボックスを確認して見つけた手紙。
ノートは私がまだ持ったままなのに、どうして見に行ったんだろうかと、自分で不思議に思う。


瀬戸山と顔を合わせて、気がつけば保健室で眠っていた。
先生に「勉強のし過ぎじゃないの?」と心配され、休み時間になって江里乃と優子が様子を見に来てくれた。

そのまま用心のために6時間目も保健室で休んで、放課後。
誰もいなくなった廊下を歩いて職員室で先生に挨拶をしてから、ふと、放送室の前によっただけ。


……そのまま、かれこれ小一時間経ってしまった。

クラブ活動もテスト前で休み中。
もちろん教室にだって誰も残っていない。

なんの音も気配もない場所で、ひとりきりで、ただ、ひたすらそのメモを眺めている。


——『お前、誰?』


とりあえず、少なくとも、私であることには気づいていないんだと思う。

米田くんから聞いたコメントの話は……正直覚えてない。そんなことがあったような気もするし、そんなことなかったような気もする。

もちろん、なにを書いたのかもわからない。
もしかしたら、本当にそのコメントは江里乃が書いたのかもしれない。


けれど、そのコメントと、私と話したことがもし一緒だったとしても、交換日記とは別の話なのかもしれない、とこのノートを見て思った。

それに関してだけ言えば……ホッとした。

だけどそんなことはどうでもいいことなんだ。
今、わかるのは……バレてしまった、ということだ。たとえ“私”だと知らないとしても。


「いつから、わかっていたんだろう……」


“いい加減気になるから”というからには、前から感づいていたんだろう。
いつから、どこで、わかってしまったんだろう。

もしかして、さっき江里乃と話をしていたのは、その事実を確認していたからなのかも。


「……もう、ダメだよね」


ほろりと、涙がこぼれた。
今、この期に及んで私が考えていることは——瀬戸山に嫌われるかもしれない、ということだけ。