「そういやさー、セトの好きな子って、黒田さんのことなの?」

「——え!? いや、違います! 違いますよ!」


私をまじまじと見ながら米田くんが言う。
必死に否定しながら“私だったら、よかったのに”なんて思った。

……そんなこと、あるはずない。


「あーそうなの? 最近仲いいからてっきり黒田さんかと思った。んじゃ誰なんだろーあいつ変なところで秘密主義だからなー」

「……米田くんも、知らない、んですね」


てっきり知っているものかと思った。
ちょっと意外だ。瀬戸山が隠し事をするなんて。しかも、いつも一緒にいる米田くんに。


「俺に言うとからかわれるって。ひっでーよなー。いや、からかうけど」


からかうんだ……。


「好きな奴がいるのは聞いたんだけど、どんなけ聞いても教えてくんねーの、ケチだろ、ケチ。あいつ絶対、ひとりで気持ち悪いくらいに探しまわったんだぜー」

「……探しまわった、って?」

「ああ、言っていいのかなこれ。まあいいか、なんか黒田さん知ってそうだし」


ぎくっとすると、米田くんが「黒田さんわかりやすいよねー」と言ってケラケラと笑う。
……そんなに、わかりやすいかな……。



「なんか、移動教室の時に、机にコメントくれた女の子らしいよ」




思わず、足が止まった。
……机に、コメント?



「サッカーのことで悩んでいるときに、返事くれたとかで。自分と全然違うコメントで、前向きになれたって言ってたけど。誰なんだろなー」