腕の中にあるのは、華奢なのに柔らかで、心地いい体温。 俺の胸で呆然としている一歌。 色素の薄いさらりとしたその髪に顔を埋める。 無理だ―― 「……イヤなら拒めよ一歌」 こんなに触れてしまったら、 もう後戻りなんてできない。 「瑞貴……?」 弱々しい声が背筋を震わせる。 このままじゃ蓋が全部開いてしまう。 だから、そうなる前に 「……俺を、止めてよ――」 俺が嫌なら、強く拒んで―― 自分を縛りつけるように、 背中に回した腕に力を込めた。