「もっと男見る目養えよな」 そう言い捨てて、俺は持っていた牛乳パックを冷蔵庫にしまった。そして振り返り、一歌をまっすぐ見つめる。 そのでかい目をもっと見開いて、俺をよく見てみろよ。 ……ちゃんと、気づけよ―― そんなことを思ってみたって、一歌に届くはずはない。 分かっていた。 微塵も考えてなんかいないんだ、この女は。 俺が、一歌を、どう思ってるかなんて―― 考えれば考えるほど腹立たしくて、俺は無言のまま階段を駆け上がった。