扉を開けると右手に洗面台、左手には洗濯機が置いてある。

そして正面にすりガラスのドア。

ぼやけたガラスの向こうで肌色の影が動いていて、俺は心臓が大きく揺れるのを感じた。


やばい。


なるべくそちらを見ないように洗面台の方を向いて蛇口を捻る。その瞬間、響いていた水音が止み、一瞬の静寂が訪れた。


そして


「瑞貴?」


風呂場に反響する声。