「しゅ、主治医の、先生は?」
 


身体を動かしながら切れ切れにつぶやくと、



「中川先生! いま呼び出し中です!」
 


人工呼吸器を持った看護師が励ますように俺の背中を叩く。



「先生、がんばって」
 


看護師たちに応援されながら、患者の胸に圧を加え続ける。
 




戻れ、拍動。
 



とにかく必死に、肋骨が折れるんじゃないかというくらい強く心臓を叩いた。



「心拍出てきました!」
 


モニタに波線が見えたとき、




「主治医の中川先生、来ました!」
 






光が差したように思えた。