進路希望用紙を眺めながら、担任がメガネのずれを直す。






「本当に変えるのか?」


 
職員室内のざわめきを背中で聞きながら「はい」と答えた。


「ここへ来てM学院か。まあ、お前の成績なら不可能じゃないだろうけど……」


 
ボールペンで首をかきながら、担任は「ふーむ」とうなる。


「正直、今からの変更はきついぞ。落ち込んでた分を取り戻すだけじゃ足りないからな」

「……分かってるよ」

「そうか」


 
俺の決意を読み取ったのか、担任はしかめていた顔を緩めた。


「まあ、沢井が死ぬ気で勉強すれば鬼に金棒だな」