「つか、ねーちゃんとか羨ましすぎ。しかも可愛いって何? うちにはサルみてぇな妹しかいねーよ」 「……やっぱ兄妹じゃん」 「は?」 「なんでもねーし」 次の瞬間、「沢井」と名前を呼ばれ、打順が回ってきた。 見上げた空は雲ひとつない快晴。 太陽を映して光る黒いメットをかぶり、金属バットを受け取って、 まるで罠みたいにぽっかりと口を開けて俺を待ち構えているバッターボックスに、ゆっくり足を踏み入れた。