カメラマンが目を細めた。 「笑わないの?」 言われて、顔が強張る。 レンズから目を離して靴先に視線を落とす。 「笑わないと、駄目ですか?」 カメラマンの後ろの平井さんが怪訝な顔を向ける。そう、あたしはあなたに聞いてる。 「笑顔がないモデルなんて聞いたことない。この世界じゃやってけないよ」 「小倉さん、良いよ。好きなポーズとって良いって俺が言ったんだ」 カメラマン、小倉さんというのか。 「すみません、お願いします」 頭を下げる。 あたしはどんな人にだって、カメラの前では譲ったりしない。