ぺた、と頬に手が届いた。 見下ろす目が、優しい。 「無事で良かった」 「…うん」 「けど、すげームカつく。あんたの逃げ腰を根本から叩き直してやりたいくらいだけど」 怖い怖い怖い。なんだか事務所に入るか入らないかとなった時の遼を思い出す。 「それはいいや。退院したら、遠慮なく色々聞くからな」 「う、あ、はい…」 オーラに圧倒されて返事をした。 それから、触れるだけのキスをして、遼は帰っていった。