「岸田さん…」 「ごめんね、結果、こんな風に苦しめることになっちゃって」 悲しそうに笑った。 「ホタル、本当は覚えてるでしょう。あの日の夜、昔の友達に会ったんじゃない?」 首を振る。 「でもね、その子達昨日の夜に恐喝で捕まっちゃったの」 「どうして岸田さんが…」 「こういうことしか、出来ないの。こういうやり方でしか、ホタルを守れなかったの」 夕日が差していた場所がすっかり影になっていた。時間は進む。進むばかりで、少しも戻らない。 藤堂さんのカットメロンが出来上がった。