サンドリヨンは微笑まない


遼の袖の生地を掴む。

視界に入ってきたお店のバレンタインの文字に、今日はバレンタインデーだったと思い出す。


「もう遼は、好きじゃ、ないかもしれないけど、あたし、遼のこと好きだよ」


言えた。

頬を伝う涙が落ちていく。


「顔、見せて」

「やだ。変だも、」


少々強引に、いやかなり強引に顎を掴まれた。

帽子が落ちそうになってそれを押さえる。


「俺はどっかの誰かさんとは違う一途なんで」


返す言葉なしに、腕を掴まれて建物と建物の間に引き込まれる。