少しずつ離れる。

それが遼の未来を明るくする第一歩。

なんか選挙みたい。



「年越しそばを黒こげにしたって岸田さんに聞いた」


遼の口から出た言葉に絶句。

岸田さん…! あなたって人は誰の味方なんだ…!



結局フェードアウトはそこで断念。

今日の夕飯と小さめの可愛いチョコレートタルトを見つけて買って帰る。

遼のチャコールグレイのマフラーの先のふさふさした所を見つめて、掴む。それに気付いた遼が、あたしの肩を抱いた。

花火の時とは、逆。

あの時はあたしが遼を好きで、ドキドキして、化粧とか汗のことを気にして。