約束なんてしてない。

あたしが急に押しかけただけ。

遼の手に絵の具が付いている。文化祭に向けて二人で何かを作っていたのかもしれない。

付き合うとか、それ以前に、あたしの好きという気持ちの糸は、遼に届いてなかった。

当たり前だ。二歳離れているし、あたしはダブってるし。

いくら頑張ったって、開いていた分は埋められなくて。

虚しい、なんて贅沢だけれど。

もう、やめよう。


「どうした?」

「違っ、違くて…」

「ん?」


優しい声。あたしはいつもあなたに甘えてた。

困らせるのも、困るのも、モヤモヤするのも、もう十分。