「音愛、なにしてんだ。」 「ご免なさい。すぐいきます」 桜がざわめく。 (この幸せが続くといいな…) 『舞風の 十六夜月夜 櫻花 変わりし時よ 見つめたいかな』 「何でそんな舞が上手いんだよ」 平助が訪う。 「母が教えてくれました。礼儀作法や扇子の使い方まで優しく、時には厳しく。父は仕事が忙しくて家にはあまり帰ってきませんので本と舞だけが楽しみでした。」 「…………」 「哀しみのさきに喜びがある。母はいつもいってました。」 「いい母上だな」 近藤の言葉に涙が出そうだった。