「っ!!」





俺は、胸ぐらを掴まれ、頬を殴られた。





とても痛かった。



心も痛かった。





こんな強い力で、殴るのか。



徳田のお母さんや、徳田のことを。




恐ろしい。






「明日、また来ますのでよろしくお願いします」






俺は頭を下げた。




その後、しっかりの父親の目を見た。





徳田に似た大きな目をしていた。









俺達は、何もできなかった。





車に戻る途中に、斉藤先生がしゃがみこんだ。





「ごめんなさい」





恐怖のあまり、泣き出してしまった。






「大丈夫ですか?明日、俺ひとりで来ますよ」




「いえ。私も担任ですから、一緒に」






絶望感。




悲しい気持ちのまま、俺は斉藤先生を家まで送り届けた。







車の中では、何も話すことができなかった。