「ふわぁ~」



教室に向かう廊下で、あかりがひとつあくびをする。

目をこすりながらもすれ違う知り合いに挨拶をして、あかりは自分のクラスである1年C組の扉を開けた。



「あかりおはよー」

「あ、おはよー南」



扉のすぐそばにいた親友の仲沢 南に、言葉を返す。

それから自分の机にかばんを置き、あかりはまっすぐ、深夜のメールの送信者の席へと向かった。

目的の人物は、自分の机に腰掛けながら友達と談笑している。



「ちょっと隼人、昨日のメールって……」

「あ、おはようあかり」



その、隼人のひとことで。

ピタリと、彼女の一切の動作が止まった。



「……隼人、今なんて言った?」

「え? 『おはようあかり』って」



とたん、ぞわぞわぞわっとあかりの背筋を悪寒が駆けめぐる。