そ、そっか。山田くん、押しに弱いのか。
……よ、よしっ!がんばろうっ!
山田くんにバレないように、心の中で気合を入れる。
あたしの隣では、不機嫌を前面に押し出した山田くんがお兄さんをあしらっていた。
「ていうか、早く会社行きなよ兄貴」
「はいはい、わかったよ。じゃあ、留守番頼むなー」
「桐仁おにいちゃんいってらっしゃあ~い!」
「あっ、い、行ってらっしゃい!お気をつけて!」
「……行ってらっしゃい」
「ぶはっ。ありがとう、行ってきま~す」
お兄さんは手を振って見送るあたしたちに、手を振り返しながら笑顔で家をあとにした。
手の振り方まで女子のツボおさえてるよなぁ……ほんと、カッコイイ。
パタンッとドアが閉まったのを確認して、みんなでリビングに戻る。
その間もマリアちゃんに、『ゆずきおねえちゃんこっちだよ~』なんて手を引かれながら案内されて。
どうしよう、あたし今顔がユルみまくって非常にキモくなっていそうだ。


