「あ、そうだ聖」
「……?なに?」
マリアちゃんに合わせて低くしていた目線を上げ、前屈みの体勢を直したお兄さんが山田くんを見る。
そして、ニヤリ、山田くんに似てフェロモンたっぷりな笑みを、妖艶に浮かべた。
「お前、俺がいない間に柚希ちゃん襲ったりすんなよ?」
「……っ、!?」
「は?なに言ってんのしないし」
お兄さんの茶化しにも全く動じず、いたって冷静な山田くんに対しひとり慌てるあたし。
び、ビックリした。顔熱い。
手でうちわを作って火照った頬に風を送っていると、そんなあたしの反応に気づいたお兄さんが、堪えきれなかったように吹き出した。
「あははははっ!柚希ちゃん、その顔は期待してたのかな?」
「え、えぇっ!?やっ、あのっ、そのっ」
期待してなかったと言ったら嘘になります!
いやでも期待って言ってもキスできるかな?とかそういうところでそんな襲うだなんていやだわお兄さん!
「……兄貴、柚希からかうのやめて。柚希もいちいち相手しなくていいから」
「柚希ちゃん、聖は押しに弱いからね。ファイトッ☆」
「は、はいっ!がんばります!」
「いやがんばるな。てか人の話を聞け」


