「山田くんとのデートが嬉しいんだね、お母さん」
普通、山田くんくらいの年頃の男の子だったら、お母さんと一緒に買い物なんて嫌がるもの。
でも、山田くんは渋々だろうと絶対行ってくれるから。
……それが、お母さんにとってはスゴく嬉しいことなんだろうな。
山田くんのそういう周りを気遣える優しさは、あたしも大好き。
「……なんか、ほんとに柚希って変わってるよね」
「えっ!?かっ、変わってる!?」
「うん。……まぁでも、そういうところが……」
「……っ?」
ドキン、胸が高鳴る。
山田くんが真っ直ぐとあたしを見つめる。
頬が急激に紅潮して、目を逸らさないようにするので精一杯だ。
……そ、そういうところが……?
「あっ、聖おにいちゃあ~ん!」
ビクゥッ!!
リビングのドアの前で立ち止まっていたあたしたちの後方から、あたしの地声よりもワントーン高い声が飛んできた。
山田くんに全神経を集中させていたのに加え、流れていた沈黙の空間に突然そんな声がかけられたものだから、あたしはあり得ないくらいに肩を跳ね上がらせた。
心臓なんて、よく体の外に飛び出して来なかったなってくらいだ。
山田くんも少なからず驚いたようで、その声の主に視線を送る。
「おかえりなさぁーいっ」


