やっとの思いでブーツを脱ぎ、スリッパを履くまで5分くらいかかってしまっただろうか。
その間も、山田くんはあたしのことを待ってくれていた。
申し訳なさと自分への恨めしさで、山田くんの顔が見れなかった。
先に歩き出した山田くんのあとをついていきながら、つぶやくように漏らす。
「あの……待たせちゃって、ごめんね」
人様のお家に来て、早々に失態を犯した。
もっとマナーの本とか日頃から読んでおくんだった……。
肩を落とすあたしに、山田くんは高くも低くもないいたっていつも通りの声で。
「……なんで謝るの?」
「えっ?」
逆に質問されるから驚いた。
「……気にしなくていいよ。母さんの方が柚希の何倍も時間かかるし」
「え?……そ、そうなの?」
「うん。酷いときは買い物とか誘っておいて、準備だけで二時間待たせる」
わ、わぁ……。
苦虫を噛み潰したような表情で話す山田くんに、つい苦笑い。
カッコイイ息子と歩くから、お化粧にも気合が入るのだろうか。
そんなふうに考えたら、なんだか山田くんのお母さんがカワイく思えてきてしまった。
いや、実際かなりの美人さんなんだろうけど。


