この人、かんっっっぜんに、わかっててさっきわざと親方をかまったよっ!!
な、なんてお方なんだぁぁあ~~~っ!!
うらめしい目でキッと睨み付けるが、山田くんはそんなもん知るかと言ったように、ニヤリと、口の端を持ち上げた。
……あぁ、そんな意地悪な笑みにも逆らえない自分が憎い。
「……い、行きたいです」
「……ん」
素直に認める他ないと悟ったあたしは、真っ赤な顔でそうつぶやく。
うぅ。悔しい。どうしてこうもあたしは、山田くんに弱いのだろう。
しかも今日は、普段よりより一層Sっ気が強い山田くん相手だ。
そんなの、もうキュン死んでくださいって言われてるようなもんじゃないかぁ!
あたしの返事に小さく相づちを打った山田くんは、家に向かって歩き出す。
その隣を、少し距離を空けて歩いてしまう。
……手繋ぎたいって、言えたらなぁ……。
ひとりでに漏れるため息。ここで一歩引いてしまうのは、うざがられたくないから。
だって山田くん、ベタベタするのあまり好きじゃないみたいだし……。
だから、山田くんが手を差し出してくれたときは、嬉しくて天にも昇る気持ちになる。
さっきはあんなに大胆に甘えられたのに、自分からじゃできないなんて。
あぁ、あたしの意気地無しーーー!


