そうと決まれば行動は早い。
店員さんに一声掛けて、お店を出ようとする。
入り口のドアのところで立ち止まり振り返れば、そこにはあたしを見上げる親方がいて。
「またね~親方!元気にしてるんだぞ~」
あたしのあとをついてきた親方の少しさみしそうな表情がなんとも愛しくて。
キューンッと胸に矢が刺さる。
最後のしめで『うりゃうりゃうりゃ』と目一杯頭を撫でてやると、親方は一段と気持ち良さそうに目を閉じたあと、相変わらずの貫禄で『ぶにゃあ~』と鳴いた。
うん、よし。嫁に来い。
思わず本気で親方にプロポーズしそうになるあたしは一歩間違えれば不審者である。
さすがに聖なる夜にお巡りさんと朝を迎えたくはないので、渋々親方とお別れをした。
待ってろよ。絶対飼ってやるからな。
なんてバカなことを考えつつ。


