本当は、もっと一緒にいたいよ。
もっと、甘えたいよ。
学校でだって、もっと話したい。
帰り道だって、もっと寄り添って歩きたい。
デートだって、もっとしたい。
キスだって、もっとしてもらいたい。
手だって、もっとぎゅっと握っていたい。
こんなワガママは、口が裂けても言えないけど……。
“もっと”って、あたしは望むだけで。
自分が山田くんに与えてあげることはできないのに、望むばっかりで。
そんなの、ダメだよね。
なにもできないから、せめて、迷惑だけは掛けたくなくて。
“いいよ”“大丈夫だよ”って、笑って承諾して、山田くんを困らせないようにしていた。
我慢していても、山田くんの隣にいられることがなによりも幸せだったから。
ただ、これは別。
最近、ふと思う。
――あたしって、魅力ないのかな?
不安なんだ。
不満ではなく、不安。
山田くんのように完璧で、みんなにも一目置かれてて、相手なんて選び放題な人なのに。
その彼女は、あたしのような、どこにでもいる普通の女の子で。
違うところを強いて言えば、他よりちょっと打たれ強いかなってところくらいで。
大事にしてくれてるのは伝わってる。
ちゃんと想ってくれてるのも感じてる。
山田くん自身にはなんの不満もないし、むしろ、あたしなんかと付き合ってくれて本当にありがとうって、ただその気持ちだけで。


